倉敷紀念病院 リハビリテーション部

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部長より

誠和会 リハビリテーション部 部長 伊勢 眞樹

部長 伊勢 眞樹

リハビリテーション(以下、リハ)医療は、ご承知のように動作の障害を診させていただいております。詳しく申しあげれば、起き上がり・立ち上がりができない、歩けない、階段が登れないなどの移動動作の障害や顔を洗えない、服を着ることができない、トイレでの排泄をすることができない、箸が使えないなどの日常生活動作の障害、またむせて食べられない、しゃべれない、言葉が出ないなどの飲み込むことや会話ができないことや注意が散漫で動作がうまくできないなどを診させていただいております。できている動作とできない動作を評価し、今後に必要となる動作を判断(診断)いたします。

ご本人のやりたいこと(ジョブ)である今後の生活を続けて行くために最も効果的・効率的で新たな障害が発生しない安全な動作は何か、それが一日何回必要で適切な回数はどの程度か、いつまでこの動作を続けるのかを検討(診断)し治療いたします。つまり「てきとうに:適切で適当な動作:正しい動作」、「ほどほどに:的確な動作の回数:高頻度での繰り返しの動作」、「だらだらと:動作の継続:日常へ汎化できる動作」を指導することになります。指導する動作の「質」と「量」が日常生活において保証され、その動作が確実に「継続」されて「汎化」されていることが必須となります。さらに必要な動作が「汎化」されていることが、再評価、再検討されて改善されなければ効果的なリハ治療とはなりません。日々続けて行く動作ですので、“練習や訓練”として一時期のリハ治療時のみに行うのではなく習慣となった「自分の動作」として行われねばなりません。いつも飲まねばならない常備薬のように「だらだらと」ご自分で獲得された「自分の動作」を続ける(飲む)ことで、薬が効いてくるように必ず日常の活動が改善し生活が向上して持続できるのです。常のことになりますので必ずどなたもできるようになります。このようにお考えいただくと「リハを受けて続けること」が自分に合った「薬を飲むこと」となり動作を続けることに抵抗がなくなり、少し気持ちが楽になりリハを続けることに対して前向きになられると思います。自分の「体からの声(筋が痛いとか張るとか:これは運動のしすぎのサインつまり運動の副作用です。)」をお聞きになって、「自分のペース」でお続けになられると必ずご自分のしたいことができるようになるでしょう。

以上のことが、我々の願いです。そのために、我々はリハ部(紀念病院:回復期/地域包括/一般/療養/特殊病棟・外来、通所、訪問、介護老人保健施設)の各部署が一気通貫にて病院から自宅においても、高品位・高品質のリハ医療の実施を皆様と共に行うことができる体制を整えております。どうぞご遠慮なくご利用いただければ幸甚です。

今後も皆様にお褒めの言葉をいただけるリハ部へとなれますよう多くの方々にご支援、ご協力をいただきながら精進いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

誠和会リハ部の「こころ」と「かたち」

2017年に小生がリハ科統括部長として赴任いたしました。多くの皆様の御尽力を賜り14年の道程を重ねたリハ部(紀念病院:回復期/地域包括/一般/療養/特殊病棟・外来、通所、訪問、介護老人保健施設)の各部署は、個々においてはすでに素晴らしい成果を上げていました。さらに各部署は、厚生労働省の方針である「医療と介護の一体的提供」と「地域完結」及び誠和会5か年経営計画「生活視点の医療・介護の提供、法人内連携によるアウトカム最大化」に基づいて統括されることが目標でした。

赴任後は、治療としてのリハ医療実施の継続性を重視してリハ部の各部署の融合を図り、一気通貫のリハ医療の実施のために以下の風土・体質の改革を4年間行ってきました。障害を持つ人のジョブを最優先する理念を掲げ、深く[高品位・高品質のリハ医療の実現:先端リハ機器チーム(腰HAL・磁気/電気刺激・LOFE/平衡機能測定チーム)・各専門チーム(心臓リハ・がん・リハ栄養・認知症・社会復帰支援・データーベース解析チーム)・マルチプレーヤ―チームの設立等]・広く[地域に開かれたリハ部の実現:連携パスによるボーダレスリハ医療/教育研修ユニット構築等]・強い[安定的な経営の実現:管理部(総務部・経理部)・診療部の新設等]組織を使命として、評価指標(治療患者数増加、在宅復帰率・FIM改善率向上、単位数増加・診療報酬増収等)を作成し実行してきました。さらに、サービス志向の文化の熟成のためにS1チーム(世界一のリハ部にするためのチーム)を設立し創る(標準化策定と実施:標準化チーム)・訊く(患者/利用者/職員満足度向上等:満足度チーム)・話す(院内外のコミュニケーション向上等:コミュニケーションチーム)ことができる目標指向を持つ効果的・効率的チーム体制の構築を目指し、人事の配置転換を含む組織改変を行ってきました。組織の改変後1年目にて奇しくもコロナ禍と重なり各種会議の自粛、経費の削減等々向かい風もありましたが、データーサーバ利用による各種データーの即時公開の実施と各種会議や打ち合わせのリモート化によりリハ部内の意思疎通が円滑化されることで、個々人の医療人としての「こころ(相手を大切に思う気持ち)」と「かたち(相手を大切に思う気持ちを行動によって表すこと)」の実現により、個々の目標が徐々に達成へと向かっています。現在では、コロナ禍にも関わらずに各部署において概ね患者・利用者数、売り上げの増加を認めリハ部組織、個々人の生産性が向上いたしております。

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