倉敷紀念病院 リハビリテーション部

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がんのリハビリテーションチーム

がんのリハビリテーションとは

がん患者さんの生活機能と生活の質(quality of life:QOL)の改善を目的とする医療ケアであり、がんとその治療による制限を受けた中で、患者さんに最大限の身体的、社会的、心理的、職業的活動を実現させることと定義されています。また医師、看護師、リハビリスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、薬剤師など、さまざまな専門職からなるチームによって提供されます。

対象の患者さん(入院に限る)

  • 手術前・後
  • 放射線治療前・中・後
  • 化学療法治療中・後
  • 進行がん又は末期がんで自宅復帰を目指す方

病期別の目的

がんのリハビリは4つの病期に分類され、それぞれに目的があります。より良いリハビリ効果を得るためには患者さん本人が必要性を理解し、主治医をはじめとした医療スタッフに相談しながら、リハビリのサポートを受けていく事が大切です。

療法士の役割

がんのリハビリは医師の指示(依頼)のもとで、「がんのリハビリテーション研修」を修了した理学療法士、作業療法士、言語聴覚士により提供されます。患者さんとご家族にリハビリの必要性とリスクを説明し同意を得たうえで治療を行います。

理学療法士 PT

がんの発症や治療によって生じた障害(筋力低下や運動麻痺、疼痛、呼吸困難等)で日常生活に支障をきたしている患者さんに対し、運動療法や物理療法( 温熱、電気などの物理的手段による治療) などを用いて、基本的動作能力( 起き上がる、座る、立つ、歩くなど)の改善や維持および障害の悪化予防を行います。必要に応じて自宅へ訪問し、作業療法士(OT)と協働して家屋調査や環境調整、各種サービス導入を検討していきます。

作業療法士 OT

がんの進行や治療の過程によって障害をきたしている患者さんに対して、作業を通じて日常生活動作(食事、更衣、排泄、入浴等)をはじめ、趣味活動や復職など、その人らしさを取り戻すための機能・能力の維持、改善を支援します。本人の出来る能力を最大限に生かしつつ、代償手段の検討や提案を行うなど、心理的サポートも含めQOLの向上に努めていきます。

言語聴覚士 ST

がんの治療や進行により、「声が出ない」「話しにくい」「言葉がでない」といったコミュニケーションに障害のある患者さんや、「飲み込みづらい」「噛みづらい」といった食べることに関して障害のある患者さんの評価や治療を行います。また、失った機能の代償となるツールや手段の支援を行います。患者さんの状態やニーズに合わせてサポートしていきます。

がんリハビリテーションの一般的な効果

  • 運動や圧迫療法、リンパドレナージュによる浮腫の予防・改善
  • 手術後の関節運動の改善
  • 治療を行う前の体力向上、手術後の体力・身体機能の改善
  • 入院・治療での廃用予防、日常生活動作の維持・改善
  • 食べること(噛むことや飲み込み)に必要な筋力の維持・改善
  • 声を失った方に対してのコミュニュケーション手段の支援
  • 失った動作の代わりとなる動作やツールを用いて、負担なく生活を送るための支援
  • 自宅生活を目指した心身機能の改善や自宅環境調整の検討・実施

がんリハビリテーションを必要とする患者さんへ

当院に入院中の多くの患者さんは、併存疾患を持っておられることも少なくありません。当院リハビリテーション部では、がん以外の専門分野の療法士も多数在籍しているため、専門スタッフのみでなくスタッフ一丸となって患者さんを支えます。ぜひ、ご気軽にご相談下さい。

がんリハビリテーション研修(厚生労働省委託事業)終了者: PT4名 OT4名 ST3名

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