ドクタートーク・読んで効く処方箋

KARTE10 動けない人のためのリハビリテーション科

リハビリテーション科 伊勢 眞樹医師

伊勢 眞樹医師 医学博士
リハビリテーション医学会認定臨床医・専門医
リハビリテーション科指導医
厚生労働省義肢装具判定医


リハビリテーション科は、主に運動障害を診て治療をする科です。具体的には、立ち上がりができない、歩けない、階段が登れないなどの体の移動の障害や顔を洗えない、服を着ることができない、トイレでの排泄をすることができない、箸が使えないなどの日常生活動作の障害、またむせて食べられない、しゃべれない、言葉が出ない、注意が散漫で動作がうまくできないなどの嚥下・構音障害、失語症および認知の障害などを診させていただいております。さらに、高齢によりすでに活動性が低下している方や今後活動性の低下が見込まれる方も対象といたします。

運動を行うには、骨がしっかりとしていること、関節が滑らかに動くこと、筋肉がよく働くこと、正しい運動を頭で考えそれを筋肉に伝え、その運動をフィードバックできること、さらに動くことができるエネルギーの補給が十分にできることが必要です。これらの各部位を診て、それらが総合的に効率的に行われているかを判断(診断)しています。治療は、まず関節の動きを維持・拡大し、つぎに体の中心となる筋から四肢の筋へときたえて行きます。寝返り、起き上がり、座る動作から、立ち上がり、立位動作へと動作を拡大して、歩行動作へとより複雑な動作の指導を行います。それらの動作が最も正確でかつ安全に行われるように繰り返して指導し、各動作の自立を目指します。

以上のように、リハ科の診断と治療は多くの科にまたがっています。したがって、その方法はご承知のように理学療法、作業療法、言語聴覚療法、看護師、各科医師、リハ科医等による他職種のチームアプローチであり、チームの多職種は患者さんが最も必要としている動作を念頭に置きその目標を共有する目標志向的アプローチです。 障害を持たれた方が、当科の治療を受けて元気を取り戻し、地域で生き生きとした生活ができますように尽くしますので、どうぞご遠慮なくご相談ください。

(広報誌SAY和 vol.54/2017秋号より)

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